シャッター取り付けの是非

A君が住む200世帯の高層マンション。
1〜4階までは店舗が入っていて、それぞれの階に共有スペースがあります。誰でも自由に使えるこのスペースで（今の季節はほとんどいませんが）夏になると、ホームレスの人達と若者達が夜明かしをします。

ホームレスの人達はベンチに座って何かを食べているか寝ているかで、大抵は静かなものです。若者達はダンスの練習をしたり雑談したり。週末などは盛り上がってて、それこそ明け方まで騒いでいることもあります。

マンションの管理人や通報を受けた警察が注意をするのですがイタチごっこのようです。

A君自身はそれで困った事はないのですが、確かに彼らの存在は気になるし、明け方に制服姿の女子高生達ががぽや〜んと座っているのを見て「なんだかなぁ」とは感じてます。

このマンションから近所の小学校に行くにはこのスペースを通るので、お母さん達は「怖い」そうです。4階には子供の為のちょっとした遊具もあるものの、夜はホームレスか若者のねぐらと化しているようです。昨年末には、ここでボヤ騒ぎがありました。（寒かったのか？）若者とホームレスの間で喧嘩もあるようです。

A君のマンションの管理組合からアンケートが来ました。
「改善策として共有スペースの入り口にシャッターをとりつけ、深夜〜朝は閉める」
という提案に関する是非を問うものです。

A君自身は公園や駅のホームレス排除に関して
「ホームレスの問題は社会問題であり、行政が解決すべきこと。”排除”するだけでは何の解決にもならない。第一追い出された彼らはどこへ行けばいいのか？閉め出すなんてひどいぢゃん。」という考え方だったのですが、自分が「排除する側」になりそうな状況に困ってしまいました。

実際に（特に若いお母さん達が）「怖い」と感じるのは理解できる。窓を開ける夏場、若者達がうるさくて眠れない住人もいる。深夜の「たまり場」として放置すれば、今後何か事件が起こりかねない。（新聞を見ると若者とホームレスの組み合わせは相性が悪いようだし・・・。）

「行政が悪い」と心の中で思うだけでは何の解決にもならないのは明らかです。「シャッターはつけないとして、じゃあどうすればいいの？」と問われても、代案は思い当たりません。かと言って、駅周辺に住んでいるのだから仕方ないと現状容認するのもベストではなさそうです。
A君が「排除する側」の一員になりたくないとは思っていても、おそらくシャッターがついてそうなるでしょう。強固にそれを拒否するだけの確信は彼にはありません。ただ、取り付けの是非を問うアンケートにどう答えるかで判断しかねているというのが正直な所です。

その後シャッターの取り付け場所を確認してみると、共有部分のうち建物の内側部分（店舗及び店頭の空きスペース）に入れなくするだけだと解りました。建物からはみ出ている部分はこれまで通り自由に使えるようです。

それなら、、シャッター取り付けもまあやむなしかな。とA君は思い始めているところです。
「はみ出ている部分」には屋根がないので、雨の日はねぐらにしにくいだろうなとも思いつつ。