FlatfishGardenの泡 2nd

KOSHU178の日記

タッチ・ザ・サウンド

見たのは今月の頭だけど感じた事を日記にメモ。
http://www.touchthesound.jp/
友人Y君から「すっげ〜いいっすよぉ!」と聞いて渋谷にどっこらしょと出かけた。
数年ぶりに行ったユーロスペースはホテル街・円山町に移転してた。
東急本店側から登るとクラブエイジアの手前右側。
おしゃれなシネコンの1フロア。観客席は適度に傾斜していて非常にスクリーンが見易くなった。内装もいい感じ。


映画の内容は、聴覚障害で音がほとんど聴こえない女性パーカッショニストのエヴニン・グレニーが、ギターのフレッド・フリスと廃墟化した工場でレコーディングする実況を中心に、彼女の「音体験」を追ったドキュメント。

上記のサイトの内容紹介がとてもいいので詳しくはそちらを。



自分の感想をひとことで言えば
「映画全体が非常に完成度の高い音響的音楽作品だった。」
もちろん、聴覚障害をもつ彼女が様々な場面(NYの駅構内、聴覚障害者の学校(出身校?)、ストリート、海岸、、、)で演奏する姿は単純にパフォーマンスの追体験として面白い。
しかし、それ以上に自分にとって印象的だったのが
様々な街の雑踏(NY、名古屋など)とか、ドイツの空港ターミナルとか
何気ない日常の風景を切り取ったシーンにおける画面と音響の編集の素晴らしさだった。


歩道をすれ違う男がしているヘッドフォンからもれる音
おしゃべりしながら通り過ぎる人達の声
ビルの外壁にぶら下がるエアコンの室外機
道を行く車のタイア音 メカニカルなノイズ
安売りカメラ店員の呼び込みの声(at 名古屋)
タップダンスのステップ
残響の多い場所での靴音
廃墟となった工場の中で連打するドラ
(やばい。すでに記憶が薄れて来て具体例があまり出てこなくなってる(^^;;)
そういった音の数々が重層的に重なり、つながり、カットorフェイドイン/アウトされていく。
本当にそれが音楽的なのだ。
タイミング、音量、音質、バランス、全てのディテールからものすごいこだわりが伝わって来る。
  (街頭シーンをどうやって録音したんだろうね?とY君と電話で話しました。
   マルチマイクでいろんな場所にマイクを設置して、それをPro Toolsで編集/ミックス
   したとしか思えないけれど、実際はどうなのかなあ。う〜ん、大変そうだなあ。
   逆に、単純にステレオ現場録音だったらそれはそれでスゴいなあ。などと。)
んで、それがあまりに心地良くて、おもわずまぶたが。。。(笑)


 (眠くなると言えば、先日の日記に書いた木幡氏のトーク
  彼女がデレクベイリーに
  「あなたのレコードを聴いていると、あまりに気持ち良くて必ず途中で眠っちゃう。」
  と告白した所、デレク氏は
  「光栄です。」
  と答えたという。
  だから”眠くなる”って、決して”つまらない”ってことじゃないはず・・・ですよね?)


個人的には、彼女のドキュメンタリーというより
トーマス監督の高品質音響作品として強い印象を残した映画となった。
DVDになってから自室で見る方は、是非ともステレオにつないで大きな音で鑑賞して欲しい。
「空気感」を楽しむ映画なのです。(個人的見解としては、ですが。)


おまけ
あとびっくらこいたのは、鬼太鼓座鼓童ではない)と彼女が共演する場面。
いや、鬼太鼓座の人が「けん玉」をつかってかっちょいいリズムを作ってたんですよ。
ただ玉をのっけるのも大変なのに、あれでリズムを作るのってすごすぎる〜!