FlatfishGardenの泡 2nd

KOSHU178の日記

Jazz Today/for Derek Bairey

4月18日 Jazz Today in Komaba(2日目)/for Derek Bairey
出演者の一人大友氏の日記で当日知った入場無料のイベントに行って来た。
http://www.lovekana.com/


出演
combo piano(p & synth)  大友良英(g) Jim O'rourke(g) 木幡和枝(トーク


内容
昨年12月に亡くなったデレクベイリーのドキュメンタリー映画上映
3人の音楽家による即興演奏(各々のソロ)
木幡氏の進行による木幡/大友/O'rourke 3氏のトーク


最も印象的だったのが木幡氏の言葉。
「みなさんにとってどう感じられるかは解りませんが、
 私にとって、デレクさんの出す音が無条件に心地良かったんです。
 私は音楽家ではないので、音楽的に彼の演奏がいいのか悪いのか解らないけれど。
 初めて聴いた時からスッと体に入って来て、それ以来”追っかけ”状態でした。」
言い回しは違うかも知れないけど、そんな内容だったと思う。
この言葉を聞いてなんだかとても胸がすっとした。


実は、トークセッションではジャズにおけるデレク氏の位置とか、
現代音楽との関係とか、そんなムズカシイ内容が話されるのかなと
びびっていたのだが、、、そうではなかった。
3氏それぞれがいかにしてデレク氏の音楽と出会い、
その後どのようにして追いかけて行ったかを語り合う。
それは、ほとんど「恋愛談義」のように私には感じられた。
3人の口調で、表情で。
そして、彼らの話を聞いているうちに胸のもやもやがすっと消えていた。


私はデレク氏の生演奏には接した事がない。
熱心なファンでもない。数枚のCDを聴いた事があるだけだ。
(彼の本「インプロヴィゼイション」は時々読み返すけれど。)
白状すれば彼の演奏は「難解で良く解らない」という印象のままだった。
自分が好きな大友氏やJim氏らが敬愛してるんだから、すごい人なんだろう、、、
と思って聴いてた部分も大きい。でも、自分自身はその音に心底は共鳴できなかった。
共振はできなかったけど、恋愛だったら、、、それは仕方ないや。
(もちろんお三方は、単なる一目惚れ以上のモロモロがあっての恋愛だろうが)


映画では、「動くデレクベイリー」を初めて見る事が出来た。
彼のリビング。
ソファーで何気なくギターを抱え、そして「あの演奏」をさらっと行う。
箱ものエレキの生音。
電話が来れば電話を受けに行き、ソファだけの画面に話す声が流れる。
そして戻って来ると、またギターを抱え「あの演奏」がはじまる。
その風景、なんて自然なんだろう!
レコードの音から想像されるような、眉間にシワを寄せた、
世界の不幸を一身に背負ってしまった哲学者風、、では全くなかった。


鳥がさえずるように
動物が呼吸するように
部屋を吹き抜ける風とおしゃべりしているように
彼は自然にギターを奏でている。ように見えた。
即興演奏の原点って、きっとこういうことなんだろうな。


CDをちょっと聴き直してみる。
自分もこの音楽を理解できた、とか、恋に落ちたというわけではないし、
そうしなくてはいけないとも思わないけれど。
なにはともあれ、違う音楽に聴こえて来たのは間違いない。
このイベントに行って良かった。


(終電が気になって23時過ぎに会場を出ざる得なかったが、
 まだトーク(質疑応答)は続いていた。
 その後どんな話題になったのだろう。最後まで聞きたかったなぁ。)