FlatfishGardenの泡 2nd

KOSHU178の日記

梅津和時/冬のぶりぶり(2日目)

梅津和時(As,Ss,Cl,B.cla,)vs 林栄一(As)
サックス・デュオ
新宿ピットインで行われた梅津和時「冬のぶりぶり3Days」の2日目。
(1日目は「with OKI(トンコリ)&ヤヒロトモヒロ」、
3日目は「新大久保ジェントルメンwithおおたか静流」)
梅津さんのライブは何年も見ていなかったが、この冬2回目の観戦。


店内に入ると、普段ステージになっている所にも椅子が並べられている。
ほぼ中央に出演者ふたりの楽器と椅子があり、
それをぐるりと取り囲むように客席がセットされて小さな円形劇場状態。
PA用のマイクはない。完全生音のセットという訳だ。


日本を代表するサックス・インプロバイザー同士の共演。
(もし普段は仲が良いふたりだとしても、)
当然、食うか食われるかの真剣勝負になるだろう。
それを立会人として客が取り囲んでいる図だ。
お客の中にもサックスのケースを持っている人が4〜5人。
残念ながら空席が目立ち、立会人は40人くらいか。
しかしその密度は濃く、出演者二人も、
「(お客が)見た顔ばかりで、やりにくいなぁ、、、」とつぶやく。


そんな非常に高い緊張感の中、ふたりだけによる即興が2ステージ。
それを実況中継する力は私にはない。
なにしろ一流奏者が、自分の持つ力を全て出し切り続ける時間が流れてゆく。
サックス奏者率が高そうなお客も、一音たりと聴き逃すまいと集中している。
超人的なスピードの全力疾走が延々と続き、
次の展開では循環呼吸で延々とドローンが響く。
自分の楽器が出す事の出来る全ての音を出そうとする二人。
自分が表現できる全てのニュアンスを出そうとする二人。


古いも新しいもない。
楽器演奏を追求する者の本能的な欲望がそこにあると感じる。
ジャンルも関係ない。
ただ、こういう『勝負』ができるのはジャズという土俵ならではかも知れない。


・・・しかと見届けさせていただきました。
そうとしか言えない後味。
「良かった」とか「感動した」とか「楽しかった」とか
そういう言葉がフィットしないライブもたまにはあるものだ。