FlatfishGardenの泡 2nd

KOSHU178の日記

日本フリージャズ史

日本フリージャズ史

日本フリージャズ史

ケンちゃんに「松戸図書館にもありますよ〜」と教えてもらって、早速借りてきた本。同好の方々には世界的に有名な「日本のフリージャズ」界も、実際は実に狭い空間&少人数で行われてきた訳で、その現場に立ち会った人もごく少数のはずだ。ジャズファン達から絶賛もしくは罵倒を浴びながら、事実上アングラであり続けているジャンルだ。


いや、一瞬だけ「全日本冷やし中華愛好会」でお茶の間でもメジャーになったかな?
筒井康隆山下洋輔の音頭取りで、坂田明が「そばやそば〜やっ!」と唄い踊る「冷やし中華祭り」。「全冷中」を検索してみると、山下洋輔のお兄さんがヒゲタ醤油の社員(今は専務?)だった事が解った。そしてヒゲタ醤油がこの祭りのスポンサーとなったいきさつをお兄さん自ら克明に書いたこのページが非常に面白い!そうだったのか!
http://www.higeta.co.jp/topics/0202reicyu.html
このイベントの内容を見ると、どうも見た事がある気がする。
ホールの中で行われたあれこれが脳裏に浮かぶのだ。行ったっけ?俺。(^^;;


話がずれた。ともかく、自ら新宿に、窓もエアコンもない楽器置き場を改装した「ニュージャズ・ホール」を立ち上げ「日本のフリージャズ」の土壌を作った福島輝人氏の記録は非常に貴重だ。福島氏は現在も「渋さ知らズ」のヨーロッパツアーをオーガナイズしているようで、70歳を超えてなお「フリー」の伝道師として活躍中らしい。


この本の目次を(はしょりながら)追って行くと、山下洋輔、吉沢元治、富樫雅彦佐藤允彦高柳昌行阿部薫、沖至、高木元輝、タージマハール旅行団、ニュージャズシンジケート(庄田次郎)、坂田明梅津和時、片山広明、近藤敏則、井上敬三、ジョンゾーン、高瀬アキ橋本一子大友良英不破大輔、、、と続いている。もちろん、本文には目次の数倍の人達が登場する。(ん、坂田は「ちょうちょ〜、ちょうちょ〜」とCMで踊ってたし、梅津&片山はRCサクセションのレギュラー・ホーンセクションだ。アングラとは言えないな。)


この本をとりあげたものの、私自身はフリージャズのほんの一時期の一部しか見ていないので、ほとんどの事が「へぇ〜」と初めて知る事ばかり。「へぇ〜」「ほ〜」「なるほど」と一気に読んでしまったので、実は内容をほとんど覚えていない。また借りて再読しなくちゃ。ここで気になった部分の抜粋をメモしておこう。
(はしょった引用)
 フリージャズといってもその演奏方法には幾つかの形態がある。
 1.頭とエンディングだけにテーマとなるメロディーがあり、その中がフリーフォーム。
 2.曲がなく、トーナルセンターとしての1音、または複数音だけを決めて演奏。
 3.完全フリーフォーム。ただし、内的リズムや音列を利用したり(略)
 4.オートマティズムのように自分の内的精神状況を音に託して表現する。
(ここから完全な引用)
とにかくフリーフォームだから上記以外にも様々な発想や方法があった。また、それらを組み合わせたやり方も多い。しかし、ここでハッキリと書いておきたいのは、フリー・フォームを演奏する為には、楽器の相当な修練と、それによる多くの奏法を持っている必要があり、ある程度の楽理も身に着けていなければならない。それは先進的な表現だからこそ重要である事は言うまでもない。
(引用終わり)


(別な部分の概要)
ニュージャズシンジケートにはアマチュアが多くお世辞にも音楽性が高いとは言いかねた。だが、フリージャズに対する熱意と真面目さだけは見事に結晶していた。79年には、再起した富樫雅彦が「型にはまったプロのオーケストラよりも、音楽しようとする熱い心を持ったアマチュアの方が可能性が高い」と言って彼らと共演。「各人が出来る範囲で精一杯やっているのがいいんだ」と喜んで、その後も2回彼らと共演した。
(概要終わり)


引用にも疲れてきた。(笑)あと一つだけ。

ジャズ解体新書―後藤雅洋対談集

ジャズ解体新書―後藤雅洋対談集

図書館で借りてきた別の本。
四谷のジャズ喫茶「いーぐる」店主でパーカーファンの後藤氏による対談集。


(いきなり引用)
佐藤允彦「フリーはね、いちばんおもしろいですよ。やってて。あれは聴くもんじゃなくってやるもんですから。(笑)」
後藤「わっ、問題発言だね、これは(笑)」
佐藤「楽器ができるできないじゃなくって、フリー・ジャズは参加するものです。これを「フリージャズ・オリンピック論」といいまして。(笑)・・・(略)
(引用終わり)


音楽は本で読むものではなくて、実際に聴いたり演奏したりするものであるのは重々承知だけど、こうやって、文字で「音楽と関わる人達の心」を知るのも楽しいものである。特に前者は、日本フリージャズ史の記録であると同時に、著者及び周辺の人々の自己存在をかけたこだわりと戦いの記録でもあり、思わず背筋がのびちゃいます。
引用ばかりで申し訳ない。
面白そうだと思ったら、是非図書館等で借りてみて。
もちろん、本屋で買うのも吉。
自分なりのフリー再考もそのうち。