FlatfishGardenの泡 2nd

KOSHU178の日記

著作権保護期間が日本でも延長へ?

日経新聞9/23に
著作権『死後70年』要求<音楽・文芸など管理16団体>」
という記事が載っていた。


*:現在日本では、音楽・文学・絵画・写真などの著作権
  著作者の死後50年が保護期間。(映画は数年前70年になった)
*:欧米は既に「死後70年」に延長されている。
*:日本が50年だと、海外でも日本の著作物が50年しか保護
  されず不利になる。から。


わたしゃ「法律」にも全然詳しくないけれど、
とりあえず身近な音楽について自分なりに考えてみる。


印税というものをもらった事がない私は
友達と「あ〜夢の印税生活したいねぇ」と冗談で
(いや、本気で(笑))よく言うし
サザンやユーミンが既に手にしているであろう莫大な富や
過去のヒット曲のカラオケ印税だけでも
充分豊かな暮らしができる作家達や
あれやこれや、を、やっかんだりもする訳だけど、、、
基本的には印税制度は納得できるものだと思う。


法律で著作物を保護することで作者に収入が確保され創作活動が続行できる。
特にコピーや流通が革命的に進歩した現代では、
その意義はますます大きいのも間違いなさそうだ。


多くの人々に愛される作品を作った人には
相応のご褒美があっていい。
才能と運の両方に恵まれた人はごく限られている訳で、
ある種宝くじみたいなもの。
予想もしなかった大ヒットなんてのも楽しい。
ポピュラー音楽にはそ〜いう夢があっていい。
(どのくらいの金額が『相応』なのかはまた別の話として)
(全然儲からないライブハウスやジャズ喫茶などから
 ビシビシ徴収するのが妥当か?も、また別の話として)


しかし、素朴な疑問もある。
「死後50年」そして「死後70年」という保護期間の根拠だ。
ある本には
「死後50年の根拠は遺族の生活保障の為。孫の代まで収入を保証する為。」
と書いてあった。


実際、作者が死んだ後の印税は
遺族(配偶者〜子供〜孫)と出版権を管理している出版社、
著作物使用者との仲介をする管理団体に分配される。


これはどうなんでしょうかね?
普通の商売だったら、親やおじいちゃんの「遺産」ってのは
彼等が生前稼いで貯蓄したものを言うのではないでしょか?
(絵画の場合は、画家が死んでから売れ始める場合があまりに多いようなのである程度やむを得ないのかも知れないけど。)


一気に20年も延長というのは、著作権管理を商売としている人達が「もっと儲け続けたい」から延長を要求しているようにしか見えない。


この著作権保護期間延長に関して、
(音楽じゃないけど)ミッキーマウス氏の見解が実に面白い!
http://ittousai.org/mickeyclubbed.html
ほんの数年前、
ミッキーマウスのキャラクターが著作権フリーになりそうだったのだ。もちろんディズニーがそれを甘んじて受けるはずない。


ポピュラー音楽に関しても、そろそろスタンダード・ジャズの初期の作曲者達が死んでから50年以上経ってしまう。そして「ドル箱」であるロックやポップス創世記の名曲達がどんどんフリーになるのもほんの数十後、、、
管理団体や出版社にとっては高額安定収入源が次々になくなったらエラい事だろう。
瞬間的なメガヒットはあるけれど、長く愛され続ける曲が生まれにくくなっている現状を考えるとますます。


ところで、「HAPPY BIRTHDAY」というあの曲が歌詞に著作権が認められていて、自由に使えないのって知ってましたか?
私はDVD「ザ・コーポレーション」(これについてはまた改めて紹介したいです)でほのめかされていたので知ったのですが、blogでこれを説明している方がいました。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040519
出版権を管理するタイムワーナー社はこの歌詞で年間2億円儲けている。らしい。
http://ittousai.org/mt/archives/2003_06/happy_birthday.html
歌詞の著作権は2030年まで残る。
そして、歌詞の権利者には世界中からお金が集まり続ける。


思わず「歌は誰の為に存在するの?」と問いかけたくなる。



著作権は大きなお金のやりとりを生む事がある。
例えばTVCMで著作権のある既成音楽を使用する場合、
まず出版社に楽曲使用料として通常数百万円のお金が支払われる。
そして、東京の放送局の場合、一回オンエアごとに1万円近い
(正確な金額は知らないけど)放送使用料が発生する。
頻繁に目にするCMに既成曲を使用した場合、一体どれだけのお金が動くのか。


「多くの人が知っている曲」をCMで使う事は、当然の事ながら非常に効果的だ。
しかし、数千万円以上のお金がかかる、、、
なので、PD(著作権の消滅した)のクラシックやトラッドをアレンジした曲がとても多く使われる。
バッハもモーツァルトも、そのメロディーをどのように使っても自由だから。


この関連で思い出すのが、 80年代にHONDAアコードCMで「ラベルのボレロ」が使用された事。ゆったりと走るアコードのバックにボレロが流れる鮮烈なCMであった。
ラベルは1937年に亡くなっている。
(戦時加算等色々あるようだが)当時は保護期間が「50年」だったので、1980年代後半にPDになる。


多くの広告関係者達は「来年、いよいよボレロが使えるぞ!」と企画をねっていたに違いない。ところが、HONDAはPD化する本当の直前にボレロを使用したのだ。
数千万円以上と思われる使用料を支払って。


そして、高品質に仕上がったCMは成功し、商品も大変良く売れたと記憶している。


広告関係者達は「やられた〜!」と思った事だろう。
「多くの人が良く知っている曲」は「聴き飽きていて新鮮味がない」にもつながる。


HONDAのボレロは「良く知っているけれど新鮮!」という
最高の使われ方をしたのだった。


ありゃ、ボレロの話が長くなった。
ともかく、このようにポップスやロックの有名曲をCMで使うには莫大なお金が必要。
これをあえて使用しているのが、自動車メーカーやappleマイクロソフトという懐に余裕がある企業ばかりなのも納得できるだろう。
そしてそれらの企業は投資に見合った広告効果を得ているのだ。


ここで「あれ?でも邦楽アーティストのCDも『既成曲』でしょ?
すんごいお金を払ってるとは思えないCMも多いけど。」
と思う人もいるだろう。その通り。
邦楽に関してはレコード会社/広告代理店/著作権管理会社/出版社の協力によって、「使用料タダ」のケースが結構多いのだ。
(ただし、タダなのはほとんど新人〜中堅アーティストの新曲。
 メジャーアーティストの過去のヒット曲には”すんごいお金”を払っている。)


からくりとしては、CD発売前にJASRAC登録前の音源をプレゼン。広告使用が決まるとJASRACとの契約書に特約として「この広告に使用する場合は使用料はいりません」と一筆入れるだけ。
広告主はタダで使えるし、アーティストやレコード会社にとってはプロモーションになるしで、いわゆる「レコタイ」成立である。


そんなにいい事づくめだったら問題ないじゃん。
ところがぎっちょん、既製服は既製服。
「タダだから」という理由でとってつけたような音楽は、むしろ逆効果にすらなる。
よって世のCM音楽の多くは「オーダー・メイド」で、オーダーメイドならではの面白さと存在価値がある。
今流行っている「た〜らこ〜、た〜らこ〜」も
80年代のカルトなバンド「ゲルニカ」のメンバーだった上野耕路氏の作品で、、、


唐突ですが、あまりにもとりとめがなく
自分が何を言いたいのか解らなくなったのでこの辺で。